孤独な女子高生が初めて見つけた友情。その絆の行く先は? 苗字の“熊田”とその風貌から、クラスメイトに蔑称に近い形で“プー”と呼ばれる女子高生の美沙。当然、友達などいない彼女にとって心を許せるのはペットのインコと理科室の水槽にいる金魚だけだった。そんな彼女は、他の女生徒から妬まれるほど“かわいい”と評判の同級生、イズミと急接近。なぜか自分に興味を示すイズミに戸惑いを覚えながらも美沙は初めての友人の存在に心躍る。孤独な美沙が初めて手にした友情。しかし、その絆が…。 学園生活において“絶対”であり“すべて”であるとともに、“移り気”でもあるティーン世代の友情をキーに、まるで主人公の心模様をなぞるように晴天から曇天へと表情を変えていく転調の効いたストーリーが秀逸。その脚本の構築力と、最後まで観る者を惹きつける緊迫感をもたせた演出から確かな才気が立ちのぼる。いじめ問題、モラルの欠如、希薄な人間関係など、現代の日本社会の闇を見据える視点もまた鋭い